
不妊治療を優先するために転職したはずなのに、どうしてこんなに働きづらいんだろう?
不妊治療と看護師の仕事を両立しようとすると、いつ決まるかわからない通院日と、人手不足で休みにくい現場に挟まれ、気づかないうちに、心がすり減っていきますよね。
実は私自身、不妊治療のために転職した先で、決定的な失敗をしました。
それは、ママナースが一人もいない職場を選んでしまったことです。
転職してすぐに妊娠が分かり、院長の配慮で産休・育休は取得できました。
けれど、本当につらかったのは、「育休復帰」を現実的に考え始めたときでした。
✅子どもの急な発熱で休んだら、代わりは誰が入るのか
✅看護師が自分ひとりの体制で、現場は本当に回るのか
✅「制度」はあっても、気持ちを分かってくれる人はいるのか
ママナースがいない職場では、「急な休み=誰かに迷惑をかけるもの」という空気がある場合が少なくありません。
そして私は、育休復帰を前に、再び転職活動をするという選択をせざるを得ませんでした。
この経験から、はっきり分かったことがあります。
不妊治療と仕事の両立を左右するのは、「診療科」以上に「職場の風土」だということ。

私は、不妊治療中の転職、妊娠してから精神科クリニックでの勤務、そして育休復帰の壁にぶつかった当事者です。
だからこそ、「両立できる職場」と「後から苦しくなる職場」の違いを、理想論ではなく、現実ベースでお伝えできます。
この記事では、
✅不妊治療と仕事を無理なく両立するための職場選びの考え方
✅なぜ「ママナースの多さ」が最強の判断指標になるのか
✅求人票や面接で見抜く、“お互い様”が根付いた職場の見極め方
を、私の失敗と再挑戦の実体験をもとに解説します。
「せっかく授かっても、働き続けられないなら意味がない」そんな後悔を、他の人にしてほしくないと思い、この記事を書きました。
私の失敗を反面教師にして、未来の自分を助ける職場選びを、ここから一緒に始めましょう。
➡関連記事:妊活中に転職してもいい?看護師が面接で悩む「伝える・伝えない」の判断基準【体験談】
不妊治療中の働きやすさは「診療科」ではなく「休みやすい体制」で決まる

結論からお伝えします。
不妊治療と仕事を両立できるかどうかは、「精神科だから」「慢性期だから」といった診療科の違いだけで決まるものではありません。
本当に差が出るのは、急な休みや通院にどう対応できる体制があるか、そしてその職場の風土や人員構成です。
不妊治療中の転職を考えると、多くの看護師がまず、
✅「少しでも楽そうな科」
✅「残業が少なそうな職場」
といった条件から探し始めるのではないでしょうか。
かつての私も、まさに同じ考え方をしていました。

たしかに、日々の業務をこなすだけであれば問題ないかもしれません。しかし、人員に余裕がない職場では、不妊治療に伴う通院や急な休みが一気に難しくなるケースが多いのが現実です。
だからこそ、実体験を通して今ならはっきり言えます。
「〇〇科だから両立できる」という考え方は、とても危ういものだということ。
両立の鍵は「ママナースの在籍率」と「定着率」
不妊治療と仕事を両立できるかどうかを左右するのは、診療科の専門性以上に、次の2点です。
✅ママナースが一定数在籍しているか
✅その人たちが辞めずに働き続けられているか
ママナースが複数在籍し、急な休みや早退が「特別な出来事」ではなく、あらかじめ想定された日常として回っている職場こそが、不妊治療中の看護師にとって最大のセーフティネットになります。
さらに重要なのは、在籍しているだけでなく、定着して働き続けているかどうかです。
長く働くママナースがいる職場は、急な休みやライフステージの変化を受け止められる体制と風土が、すでに根づいている可能性が高いと言えるでしょう。
なぜ「診療科」や「働きやすそう」だけで選ぶと、うまくいかないことがあるのか
一見すると働きやすそうに見える職場でも、条件によっては、妊活や不妊治療との両立が難しく感じられることがあります。
✅業務自体は落ち着いていても少人数体制
✅看護師が1〜2人のみで現場を回している
✅誰かが休むと業務の調整が難しくなる構造
このような環境では、「残業は少ないけれど、休みづらい」「通院のたびに、申し訳なさを感じてしまう」といった状況が生まれやすいと感じました。
また、独身スタッフや、すでに子育てを終えた世代が多い職場では、子どもの急な発熱や、不妊治療による突発的な受診といった事情が、理解はされていても、同じ温度感で共有するのが難しい場合もあります。
さらに、個人的に注意が必要だと感じたのが、「制度」と「実際の運用」の差です。
求人票に「産休・育休制度あり」と記載されていても、
✅育休から復帰した実例がほとんどない
✅復帰後、比較的早い段階で退職しているケースが多い
といった場合、制度はあっても、実際には十分に機能していない(両立が難しい)可能性も考えられます。
不妊治療は、スケジュールが直前まで確定しないことも多く、先が見えにくい取り組みです。

だからこそ私は、この経験を通して、「暇そう」「ゆるそう」という印象だけで職場を判断するのではなく、誰かが欠けたときにも無理なく支え合え、困ったときに安心して相談できる空気感があるかどうかが、何より大切だと感じるようになりました。
【実体験】精神科クリニックへ転職した私の誤算と「復帰後の壁」

私自身、不妊治療との両立を考え、精神科クリニックへの転職を選びました。
当時は、
✅身体的な負担が少なそう
✅残業が少なそう
✅精神科であれば、無理なく働き続けられるかもしれない
そんな期待を抱いていたのを覚えています。
また、これまで家計を支えるために必死に働いてきた時期が続いていたこともあり、「せっかく転職するなら、ここからは自分が興味を持てる分野で働きたい」という気持ちが、少し先行していた部分もありました。
しかし、実際に妊活やその先の生活を見据えてみると、精神科であっても、想像以上に厳しい現実が待っていたのです。
予期せぬ妊娠と、院長の厚意
入社が決まり、前職の退職日もすでに決まっていた中で、勤務開始を目前に控えたタイミングで妊娠が判明しました。
正直なところ、喜びと同時に、どうしても気まずさや不安が先に立ったのを覚えています。
それでも幸いなことに、院長のお人柄に恵まれ、「育休も取得できますから、大丈夫ですよ」と声をかけていただき、産休・育休を取らせていただくことになりました。
その言葉に救われ、当時は、「この職場を選んで本当によかった」「精神科は、やはり働きやすい分野なのかもしれない」と、前向きに受け止めていました。
問題は「育休復帰」を考え始めたときに一気に表面化した
本当の壁を感じたのは、育休からの復帰を現実的に考え始めたときでした。
職場には私以外にママナースはおらず、看護師の人数も必要最低限の体制でした。
その結果、復帰を前に、次のような不安が浮かんできました。
✔子どもの急な発熱で休む必要が出た場合、代わりに対応できるスタッフがいない
✔私が休むことで、外来診療に直接影響が出てしまう
✔復帰すること自体が、職場に負担をかけてしまうのではないか
さらに、院長がとても理解のある方だったからこそ、「迷惑をかけてしまっているのではないか」という罪悪感が、かえって強くなっていきました。
妊娠中の勤務に限って言えば、精神科クリニックは身体的な負担も少なく、体調を崩すことなく働けていたのも事実です。
当時は、「精神科はやはり家庭との両立がしやすい診療科だ」と感じていました。
それでも結果として、私は次のことを強く実感しました。
どれだけ「働きやすい診療科」と言われていても、急な休みに対応できる体制が整っていない小規模な職場では、子育てと仕事を両立し続けるのは難しいということです。
そう感じた私は、育休復帰を前に、再び転職活動を始めることになりました。
➡関連記事:転職後すぐの妊娠に絶望…看護師が産休・育休を安心して取るために知っておくべき現実
次の転職で失敗しないために|エージェントから見えてきた「本当に両立しやすい職場」

同じ失敗を繰り返さないために、私は今回、転職エージェントにも相談しながら、職場の内部事情をできる限り確認しつつ転職活動を進めています。
その過程で見えてきたのが、妊活中の看護師や、これから育児と仕事の両立を考える看護師ママにとって、現実的に選びやすい職場の共通点でした。
休みやすさを重視するなら「母数の多い病院」は有力な選択肢
転職エージェントに相談する中で、最初に共有されたのは、「休みやすさを最優先に考えるのであれば、病院はやはり選択肢として強い」という考え方でした。
その理由は、とてもシンプルです。
✅看護師の在籍人数が多い
✅ママナースが一定数在籍している
✅応援や配置調整によってフォローできる体制がある
こうした環境では、「子どもの急な発熱」や「通院による欠勤」といった出来事が、特別なことではなく、想定内の出来事として受け止められているケースが多いと感じました。
それでも「総合病院はもう厳しい…」と感じている方へ
とはいえ、
✅総合病院の忙しさには戻れそうにない
✅夜勤のある働き方は続けられない
✅通勤距離や生活リズムの面で負担が大きい
と感じている方も、決して少なくないと思います。
そんな方に向けて、今の私が「病院以外で現実的な選択肢として考えやすい」と感じている働き方を、2つ紹介します。
① 母体が大きい法人が運営するデイサービス
✔全国展開や複数拠点を持つ法人が多い
✔同じ法人内で応援やヘルプを依頼できる体制がある
✔相談窓口やバックアップ体制が整っていることが多い
個人経営の事業所と比べると、万が一のときに相談できる体制や選択肢が用意されているケースが多いと感じています。
休みの調整がしやすい点は大きな安心材料になり、業務内容についても、病院と比べると比較的落ち着いた環境で働ける事業所が多い印象です。
② チーム制を取り入れている訪問看護ステーション(車移動)
✔ チームで利用者さんを担当する体制が整っている
✔ 突発的な休みが必要になった場合も、管理者や他のスタッフがフォローに入れる仕組みがある
✔ 車移動が中心のため、妊娠中や体調に配慮が必要な時期でも、負担を調整しやすい
一人で抱え込まない仕組みがあり、急な休みが必要になった場合も、管理者や他スタッフがフォローに入れる体制のある訪問看護は、ママナースや妊活中のナースとも相性が良いと、個人的には感じています。
内部情報はどうやって掴む?
求人票に書かれている「アットホームな職場」という表現は、妊活中や育児中の働きやすさを判断するうえでは、参考にしづらいと感じています。
私が実際に確認するようになったのは、次のような点です。
✔直近数年の産休・育休の取得状況や復帰の実績
✔同じくらいの世代のママナースがどの程度在籍しているか
✔突発的な休みが出た場合、どのようにフォローしているのかという具体的な体制
こうした情報は、求人票や公式サイトだけでは分かりにくく、自分ひとりで調べるには限界があると感じる場面が多くありました。
そのため私は、妊活中や育児中といった事情をふまえた働き方を考える際には、転職エージェントに相談しながら情報を補足していく方法も、一つの選択肢だと、実体験を通して感じています。
➡関連記事:看護師転職サイトを使わない方がいい?【結論】6回転職活動してわかった正しい使い方
よくあるQ&A:不妊治療と転職の不安

Q. 転職してすぐに不妊治療を始める(または妊娠する)の迷惑でしょうか?
A. 私自身も同じ状況を経験しましたが、正直なところ、職場に少なからず負担がかかる場面はあります。ただ、女性のキャリアとライフステージは切り離せるものではありません。大切なのは「失礼かどうか」よりも、万が一のときに相談できる環境かどうか、そして職場の風土がどうかだと感じています。ママナースが一定数在籍している職場や、管理職・代表者が事情を理解している職場では、お互いに支え合う前提で受け止めてもらえるケースもあります。

ちなみに、現在の転職活動の中で、「これまでに妊娠中の看護師を採用したことがある」と話してくれた事業所にも出会いました。人手不足の現場の中には、「今の状況」だけで判断するのではなく、将来的に長く現場を支えてくれるかどうかという視点で人材を見ている事業所もあるのだと、実感しています。
Q. 精神科は不妊治療と両立しやすい診療科ですか?
A. 身体的な負担が比較的少ないという点では、両立しやすい側面はあると感じています。
ただし、私の体験から言えるのは、単科のクリニックや少人数体制の職場では、通院や急な休みへの対応が難しくなる場合があるということです。選択肢としては、ある程度規模のある精神科病院や、チーム制を取り入れている訪問看護ステーションなどが、バランスを取りやすいケースもあると感じています。
Q. 面接で不妊治療のことは伝えたほうがいいのでしょうか?
A. これは本当にケースバイケースです。
ただ、何も伝えずに入職してから一人で抱え込んでしまうよりも、「将来的に子どもを希望しているため、急な通院が必要になる可能性があるのですが、相談できる環境でしょうか」といった形で、働き方について確認するのも一つの方法だと感じています。その時点で難しさを感じる場合は、入職後も両立が厳しくなる可能性があります。
まとめ|「今」だけでなく「その先」まで見据えた職場選びを

不妊治療と看護師の仕事。
どちらも大切にしようとすればするほど、「どこかで無理をしてしまう」瞬間は、どうしても出てきます。
それでも、私自身の失敗を通して、「避けられたかもしれない選択」があったことにも気づきました。
最後に、今回の記事の要点をまとめます。
✔「楽そうな科」「楽そうな仕事内容」というイメージだけで判断しない
✔ママナースの在籍数と、辞めずに働き続けられているか(定着率)を見る
✔制度の有無よりも、「実際に現場が回っているか」を重視する
✔内部事情を知るための手段を、自分から用意する
「せっかく授かっても、働き続けられないなら意味がない」
これは、復帰を前に悩み続けた私自身の、正直な気持ちです。
私のように、復帰後に後悔してまた一から転職活動をすることにならないよう、今のうちから妊活・出産・育児までを含めて考えた職場選びをしてほしいと思っています。
今の迷いや苦しい選択は、未来のあなた自身と、あなたの大切な家族を守るための準備でもあります。


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