
精神科看護師って怖い?患者さんに暴力を振るわれることはある?自分までメンタルを病まない?精神科未経験でも、患者さんとうまく関われるのかな。

私自身も、新卒から3年間働いた精神科病棟を離れ、約10年ぶりにリワークデイケアで精神科へ戻るとき、「今の自分に務まるのかな」と不安を感じました。
そんなとき、精神科病棟の空気を思い出すきっかけになったのが、水谷緑さんの『精神科ナースになったわけ』。
そして現在、精神科訪問看護で働く私が「これ、本当に分かる」と感じたのが、のまりさんの『おとずれナース』です。
この記事では、漫画のあらすじや感想ではなく、精神科病棟・リワークデイケア・精神科訪問看護での実体験と照らし合わせながら2作品を紹介します。
この記事でわかること
- 精神科経験者が「リアル」と感じた場面
- 漫画と実際の精神科現場の共通点・違い
- 病棟と訪問看護で異なる、看護師が葛藤するポイント
ネタバレはできるだけ避けています。精神科が自分に合う働き方なのか考えるヒントになれば嬉しいです。
精神科で働く前に読んでほしい漫画2選


精神科の現場を知りたい看護師さんに、私がおすすめしたいのが『精神科ナースになったわけ』と『おとずれナース』です。
| 作品 | 描かれる現場 | 私がリアルだと感じたところ |
|---|---|---|
| 精神科ナースになったわけ | 精神科病棟が中心 | 目に見える症状だけでなく、患者さんの背景を探りながら関わる難しさや、正解が見えない中で迷う看護師の葛藤まで描かれている |
| おとずれナース | 精神科訪問看護 | 関わりを重ねる中でふと見えてくる患者さんや家族の本音。本人・家族それぞれの思いが違う中で、どこまで支えるのか悩む訪問看護の難しさまで描かれている |
どちらも精神科を描いた作品ですが、病棟と訪問看護では見えてくる景色が少し違います。
ここからは、実際に働いた経験と照らしながら、それぞれ「リアル」と感じた部分を紹介します。
『精神科ナースになったわけ』病棟経験者がリアルだと感じたこと

『精神科ナースになったわけ』は、精神科看護師や医師、作業療法士などへの取材をもとに、患者さんの言動や病棟の空気、看護師の迷いまで描かれたコミックエッセイです。

実際に読んでみると「この空気感、精神科病棟そのものだ」と感じる場面が何度もありました。
私がこの本を読んだのは、精神科病棟を離れて約10年後、リワークデイケアへの転職が決まり、「今の自分に務まるのかな」と不安になって精神科関連の本を読み漁っていた頃です。
「昔担当した患者さんに似ている」と感じるエピソードが次々と浮かび、懐かしさとともに、必死で患者さんと向き合っていた当時を少しずつ思い出しました。
「何もできない」の奥にある苦しさを思い出した
印象に残っているのが、うつ状態にある患者さんの描写です。
精神科病棟で働いていた頃にも、ベッドからなかなか起きられない患者さんや、声をかけても反応の乏しい患者さんと何度か関わりました。

新人だった私は、「今は無理をさせないほうがいい」「できることを少しずつ」と考えながらも、反応のなさに戸惑う毎日でした。
でもこの漫画を読み、支援する側も苦しいけれど、一番苦しんでいるのは「動けない自分」を責めている本人なのかもしれないと、昔の患者さんの顔を思い出しました。
今振り返ると、当時の私はその苦しさをどこまで想像できていたのだろう、と考えさせられます。
『精神科ナースになったわけ』は、表面の言動だけでは見えにくい患者さんの苦しさまで、イメージしやすく描かれています。
看護師側の迷いや葛藤まで描かれている
『精神科ナースになったわけ』は、患者さんだけでなく、関わる看護師の迷いや葛藤まで描かれているからこそ、精神科病棟の現場感をイメージしやすいと感じました。

精神科では、答えが出ない場面も少なくありません。
声をかけるのか、そっとしておくのか。どこまで踏み込むのか。私自身、病棟勤務では何度も迷いました。
一生懸命関わっても、すぐに変化が見えるとは限らない――そんな難しさも、精神科看護の一部です。
それでも現場の雰囲気が見えると、「何が起こるか分からないから怖い」という感覚は少し変わります。
『精神科ナースになったわけ』は、私にとって精神科病棟をもう一度具体的に思い出させてくれた一冊でした。
精神科病棟で実際に働く大変さや働きやすさはこちらで詳しくまとめています👇
➡精神科看護師は楽?一般科も経験した私が「楽な点・きつい点」を本音で解説【体験談】
『おとずれナース』現役訪問看護師としてリアルだと感じたこと


『おとずれナース』を読んで、現在精神科訪問看護で働く私が特に共感したのは、関わり続けるなかで、患者さんが少しずつ本音を見せてくれるところでした。
精神科訪問看護では、最初から何でも話してもらえるわけではありません。
最初はほとんど目が合わないこともあります。
それでも毎週会い、何気ない会話を重ねていると、少しずつ目が合うようになり、ある日ふと「実は……」と、それまで聞いたことのなかった気持ちを話してくれることがあります。
「そうそう、精神科訪問看護ってこれなんだよな」と、実際の業務と重ねながら読めた一冊です。
支援したい気持ちが、家族とのズレになることもある
精神科訪問看護では、患者さん本人だけでなく、家族との関わりも大きな部分を占めます。
『おとずれナース』で印象に残ったのが、本人を一生懸命支えようとするほど、家族との間にズレが生じることがあるという描写です。

本人にとって良い支援と、家族が望むことが一致するとは限りません。本人も家族も支えたいからこそ、「何が一番いい支援なのか」と迷う場面があります。
『おとずれナース』は、そうした一筋縄ではいかないケースが一例ずつ描かれていて、精神科訪問看護の難しさまでイメージしやすい作品だと思います。
1対1だからこそ、言葉の重みを感じる
精神科訪問看護では1対1で関わる時間が長いため、何気なくかけた言葉が思った以上に相手に残ることがあります。

私自身も言葉選びに迷うことがあり、『おとずれナース』にも、そうした言葉ひとつで関係が揺れる難しさが描かれていて、とてもリアルさを感じました。
本音が見えるまで関わり続けること、本人と家族の間で迷うこと、言葉ひとつにも慎重になること。
『おとずれナース』は、そんな精神科訪問看護の難しさと面白さまで描いている作品だと思います。
精神科訪問看護って実際どんな仕事?実際に現在働いている私が、働き方について体験談をまとめています👇
➡精神科訪問看護はママナースに働きやすい?未就学児×フルタイムのリアル【体験談】
漫画と実際の精神科は同じ?働いて分かったこと

2作品とも精神科の現場をかなりリアルに描いていますが、実際に病棟と訪問看護の両方で働くと、患者さんを理解しようとする基本姿勢は同じでも、重視するポイントは少し違うと感じています。
病棟では安全面や状態変化への対応を意識する場面が多く、訪問看護では生活の場に入るからこそ、本人だけでなく家族との関係まで含めて考えることが増えました。
また精神科では、一度関係がこじれると、信頼関係を取り戻すまでに時間がかかることもあります。

支援したいと思ってもすぐには踏み込まず、いったん様子を見る。迷ったときはチームで共有してから関わる。そんな慎重さも必要です。
「何をするか」だけでなく、「今はあえて動かないほうがいい」と考えることも、精神科看護では大切だと感じています。
だからこそ2作品は、精神科のすべてを知るためというより、精神科ならではの関わり方や難しさを知る入口として読むのがおすすめです。
精神科で実際に働く1日について、こちらの記事でまとめています👇
➡【体験談】精神科看護師の1日の流れは?病棟・訪問看護・デイケアを比較
【まとめ】「怖い」を知ることから始めてもいい

精神科看護師に興味があっても不安を感じることはあり、私自身も約10年ぶりに精神科へ戻るときは「自分にできるのかな」と感じていました。
そんなとき、精神科病棟の空気や看護師の葛藤を思い出させてくれたのが『精神科ナースになったわけ』。
そして現在、精神科訪問看護で働く私が「そうそう、これなんだよな」と共感しながら読めたのが『おとずれナース』でした。

病棟の雰囲気や看護師の迷いを知りたい人には『精神科ナースになったわけ』、患者さんの生活や家族まで含めた訪問看護の関わりを知りたい人には『おとずれナース』がおすすめです。
漫画だけで精神科のすべてが分かるわけではありませんが「何が起こるか分からないから怖い」から、「こういう難しさがある仕事なんだ」と少し具体的に知るだけでも、見え方は変わります。
まずは漫画や実際の働き方を知りながら、自分に合う働き方なのか考えるところから始めてみてください。
今回紹介した2冊を実際に読んでみたい方はこちらです👇


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